ウルトラマンの話

怪獣紹介 虫歯怪獣シェルター

2018年2月2日

この記事は2018/02/02に書いたものです。

ウルトラシリーズに登場する怪獣たちの中には人間たちの犠牲者として描かれる存在も多い。

有名どころで言うと地球人なのに故郷に見捨てられ怪獣として殺されたジャミラ。人類の驕りによって平和を奪われたギエロン星獣。この辺りが有名でしょうか。

今回は人類の被害者でありウルトラファンの間では超有名なマイナー怪獣

虫歯怪獣シェルターのお話です。

©円谷プロダクション 「ウルトラマンタロウ」より

登場作品はウルトラマンタロウ第13話「怪獣の虫歯が痛い!」。

ひでぇタイトル?タロウではよくある事だ。この次は「タロウの首がすっとんだ!」だしな。

海底に生息する怪獣で目の前のものに飛び付く性質を持つ。飛びついた獲物はすっぽんの如く絶対に離さないらしい(まぁ、実際のすっぽんはそんなことはないらしいけど)。

体は硬い甲殻に覆われておりタロウのストリウム光線を防げるほどの硬さを持つ。

防衛チームZATが軍事演習で小型無人水中ロケットを使用していた所、それを魚と間違えて飛びつき水中ロケットが歯と歯の間に挟まってしまう。

ちなみにこの水中ロケットを射出したのは主人公の東光太郎こと我らがウルトラマンタロウである。

歯の間に挟まった異物をなんとかして取ろうと地上に出現。暴れまわる・・・というよりは異物を取ろうと海岸でひたすら奮闘していた。

その様子を見たZATは水中ロケットを抜いて海に帰してあげようと提案。作戦の実行役にはロケットを使用した光太郎が選ばれた。

怪獣であっても無害な者ならば命を尊重するZATらしい作戦立案である。

早速戦闘機に乗り込みアンカーでロケットを引き抜こうとする光太郎だったが、深く挟まっているようで中々抜く事ができない。

一気に抜いてしまおうと推力を全開にする光太郎。怪獣が後ろに転げる衝撃と共に見事にロケットを抜くことに成功・・・と思われたが・・・。

©円谷プロダクション 「ウルトラマンタロウ」より
ブチィィィィィィィ!

アンカーが掴んでいた物。それはロケットではなくシェルターの歯であったのだ。

「そりゃ麻酔もなしに歯を抜いたら痛いよな・・・。」

衝撃を絶する痛みに涙を流し暴れまわるシェルター。ZATは止むを得ず攻撃を開始する(おい!)。

痛みのままに暴れまわるシェルターはついに市街地へ侵入してしまい、被害を広げないために光太郎はタロウに変身する。

肉弾戦によるダメージでシェルターを疲弊させたタロウは 、歯に挟まっていたロケットを一気に引き抜いた。

しかし、異物がなくなったからといって痛みが治まるはずも無くシェルターは痛みのままに暴れ続けてしまう。

そこでタロウは先程抜き取った水中ロケットをおもむろに指差す。

「そうか。水中ロケットに爆薬を積み込むんだ。かかれ!」

それにしてもこのZAT。被害者の口封じにノリノリである。

タロウの指示通りに爆弾を搭載された水中ロケットがZATによって射出され見事にシェルターを倒すことに成功する。

「おいおい、水中ロケットが地上で使えるじゃないか。」

こうしてZATは平和取り戻すことに成功したのであった。

  

  

ど う し て こ う な っ た

代表例として上述したジャミラとギエロン星獣は双方とも始まりは人間のせいでしたが地球に復讐とするという明確な悪意と敵意を持っていました。

また、ジャミラは自分の復讐には全く関係のない山村を襲撃し、ギエロン星獣は体内に大量の放射線を抱えているため存在そのものが地球の脅威だったと倒されても仕方ないと思える部分が存在します。

ではこのシェルターはどうだったのかというと敵意や悪意は一切なく水中ロケットさえ現れなければ陸に上がることすらなかったでしょうし、街中で暴れてしまったのも歯を無理やり抜かれた痛みからで人類に対する敵意を持っているわけではありませんでした。ていうか、抜かれた歯は健康な歯そのもので虫歯じゃないし。虫歯怪獣の肩書きまで詐欺だし。

更にジャミラを始め人類の犠牲者と戦うシナリオでは戦うことに対する苦悩が描かれる事が当たり前なのですがこのシェルターに至ってはウルトラマンタロウらしいコミカルな演出が多数行われており、この怪獣が人類の犠牲者であるという事があまり意識されない展開になっています。

このあんまりすぎる扱いには放送当時から多くのツッコミと批判がされる事になりました。

このシナリオにおける光太郎とウルトラマンタロウの行動もツッコミどころ満載

射出したロケットを捕食される(これは事故なので仕方ない)。

歯に挟まったロケットを俺が抜きます!

しまった!間違えて健康な歯を抜いてしまった

シェルター痛みに悶え暴れ出す。

タロウに変身。ロケットを引っこ抜く。
(ちなみにこの時殺す気マンマンでストリウム光線を撃つも防がれ、動きを止めるために送電線を犠牲にして周辺地域を停電させた。)

ZATにロケットでシェルターを倒すように指示を出す(このクズが!)。

と、今回の事件の元凶となっておきながら後始末をZATに任せるという悪どいことを平然とやってのけました。

光太郎とタロウは一体化しているだけなので他人ではありますが、タロウが負った怪我が光太郎にも反映されたり、タロウに変身している状態でも光太郎としての意識が表に出ていたりと光太郎=タロウと言えるほど深く一体化しているので最期のZATへの指示も光太郎として行ったことであると考えられます。

人類の罪を背負う覚悟で戦った兄たちを見習ってくれや・・・。

かくして悲しい末路を辿ってしまったシェルターという怪獣は人類(というかZAT)の犠牲者としてウルトラファンの胸に刻み込まれる事になったのでした。

マイナー怪獣だから再登場も救済も無い。せめて怪獣墓場か怪獣娘として幸せになってくれ。









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