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白爪草 ~小手毬の選択~ 感想

©「白爪草~小手毬羊子の選択~」製作委員会

2022年12月30日に配信開始された「白爪草 ~小手毬の選択~」。

こちらを見た感想を述べていきます。

白爪草とは?

©映画「白爪草」製作委員会

さっくりお話すると2019年に公開されたサスペンス映画。

出演者が全てVTuberということが話題になりました。

詳しくは記事を書いているのでコチラを参照。

本作はその前日談に当たり、白爪草の主人公「白椿蒼」が働く「フラワーショップ花組」の店長「小手毬羊子」が主役となります。

ネタバレなし感想をさっくり

前作白爪草と同じく序盤から散りばめられた伏線。見終わった後にアレはああいう意味だったのか。と気づけるシナリオはやはり秀逸。

何気ないセリフや仕草も後々になって考察すると「ああっ!」となるシーンが多く、二度三度見る楽しみがありますね。

また、前作での描写や考察に対する答え合わせになっているシーンもあるので、前作と合わせてみるとより楽しくなります。

本作の主演を勤めたVTuber「もこ田めめめ」氏は配信でも色々な声色を使い分ける人なので、演技力もバッチリです。

公式サイトはこちら

小手毬の選択 - 白爪草
https://www.sirotsumekusa.com/kodemarinosentaku

配信サイトはこちら

テレ朝動画
白爪草 ~小手毬の選択~
https://douga.tv-asahi.co.jp/program/34983-34982/37725?auto=t

配信期間:12月30日17:00~1月9日
有料配信で4000円ほど必要です。
ぶっちゃけ、映画一本見るためと考えると高いっす・・・。
まぁ、ミニシアター向けの小規模映画なんでこうしないと回収できないんだとは思いますが・・・。

公式PVはこちら

これ以降は本作のネタバレを含みます

ネタバレあり感想

前作では声だけで姿は見せず、ほんのワンシーンでの登場だった小手毬さん。だが、蒼の秘密が明かされていくにつれて店長もヤバい奴じゃね?と考察されておりましたが、今回はその店長小手毬さんに焦点が当たりました。

このスピンオフの第一報を聞いた時に蒼と出会ったことで小手毬さんが狂い堕ちていく事になる映画かな。と思っていたのですが

まさか初めから狂っている人だったとは・・・。

旦那さんと二人で始めたフラワーショップなのに旦那さんがおらず一体どういう事かとは前作から言われていましたが、今作で旦那さんがいなかったのは小手毬さんに愛想を尽かし他の女と浮気して出ていったことが発覚。

しかし、それがショックだった小手毬さんは記憶を改ざんし「夫は病気で帰ってこれない」という偽りの記憶を信じ込み「夫が帰ってくるまで花屋を経営する」という使命を背負ってしまった。

しかも、旦那からは何も出来ないやつと日常的に罵られ、それがいつしか強い劣等感を生むと当時に「自分がしっかりしていないから夫は病気になった」と劣等感と「夫の病気」をこじつけてしまった。

中盤で旦那・・・というか元旦那から電話がかかってきた時に浮気の現実が認められず「私がしっかりしてないからアナタは病気になった」、「今の私はちゃんとフラワーショップを経営できているから、アナタの病気は治って帰ってくるんでしょ」と縋る姿は狂気しか感じなかった。

思えば序盤でお得意さんから注文ミスの電話がかかってきた時にクレームに発展しないで「次からは気をつけてね」で終わり、「一人でお店やるの大変だと思うけど頑張ってね」と労ってもらえていたのはそういう事情をあのお得意さんは知っていたんだろうなぁ・・・。このお得意さんも前作からの登場キャラだけど、この人も一人でお店やったことがあるって言ってたし小手毬さんと同じ様な境遇になったことがあるのかな・・・。

しかも、精神的なものに起因する病で目がよく見えず、色がわからず、匂いも感じ取れないというかなりやばい精神状態だった事も判明。上述の注文ミスもこれの伏線だったと・・・。

そんな中、現れたのが白椿蒼。

店先で花に関する知識を披露していた蒼の姿は小手毬さんにとっては救いの女神に見えたんだろうなぁ。

実際は破滅の悪魔なんだけど。

実際雇ってみたら蒼は花の知識は十分だし、仕事はすぐ覚えるし。そして何よりそんな優秀な蒼が自分に教えを請うという姿が彼女の劣等感を癒やしてしまった。でも、それは一時のことで徐々に実力をつけてきた蒼に追い抜かれ、病気のせいもあって自分がやってしまうミスを蒼に指摘されるようになり劣等感は再び大きくなっていく。それでもまともに働けない自分には蒼が必要で、劣等感を抱えながらそれでも自分が上だと、器の大きい店長であると意地を張り続けた事がどんどん彼女を狂わせていく。

それでも蒼が小手毬さんを狂わせたわけではなくて、「夫がいなくても店を続けること」、「蒼を雇うこと」を始め、小手毬さんは劇中で何度も「選択」を続ける。蒼の存在はきっかけでしかなく結局は自分の選択でどんどん小手毬さんは狂い堕ちていってしまうというのはなんとも言えない救いの無さだった。フラワーショップ花組の事を初めは「私と蒼ちゃんのお店」と言っていたのが後半になると「蒼ちゃんのお店」と言ってしまったシーンは「もうこの人は完全に引き返せないところまで堕ちてしまったな」と感じた。

最終的に蒼から前作にも登場した精神科医の桔梗先生を紹介され、カウンセリングによって徐々に視力や色を取り戻すも、もはや彼女は自分が何を見ているのかもよく分からなくなっていて、それでも吹っ切れたような幸せを感じているのは恐怖さえ覚えた。

しかも、前作で行われた蒼と紅の入れ替わりについても、蒼の様子に違和感は覚えながらも、それ以上に再び「蒼」が仕事を教えてほしいと言うようになったことで「自分が蒼に仕事を教えている」という優越感に浸ってしまい気付いていない(あるいは気付いていても受け入れている?)始末。結局、この人が抱えていたものは何一つ解決しないまま、歪んだ幸せを見つけてしまったんだな・・・。まぁ、前作の展開的にこの人が真人間で居続けるわけがないとは思っていたが。

紅も前作で選択を間違えて、その選択を受け入れるしか無くなってしまったわけだけど、今のフラワーショップ花組は選択を間違えた小手毬さんが選択を間違えた紅に依存して、紅もここに居続ける以外選択肢を失ってしまったわけで、なんだこの地獄のような店は・・・。

しかし、今回も桔梗先生のカウンセリング要素が入ってきたか。白爪草シリーズの事件は全部この人が裏で糸を引いてるんじゃないのこれ。

やはりカルロ家は邪悪か・・・。

それと今作にも登場した間違い電話の人。
今回も間違い電話かよwwwと笑ってしまったものの、この後アルバイトを希望していた人が少し前にお店に電話したのに全く繋がらなかったと話している事から間違い電話によって電話が塞がってしまいアルバイト応募の電話が受けられず、そのまま店にいた蒼を採用してしまうことになった。この間違い電話がなかったら蒼がフラワーショップ花組で働くこともなく、小手毬さんの運命も少し変わったのかもしれない。
もっとも、蒼がいない場合、結局フラワーショップ花組は元旦那によって潰されていたし、このアルバイト希望の人物が蒼並みに働けるかは微妙だし、蒼の紹介で桔梗先生のカウンセリングを受けることもない。元から小手毬さんは狂っていたわけだし、蒼と出会う以上に悲惨な結果になった可能性もある・・・救いがねぇな・・・。
ぶっちゃけ、小手毬さんが救われる方法は夫の浮気を受け入れて決別して、フラワーショップ花組を閉める。これしか無かったわけだしね。

前作の謎で明らかになったことについては

小手毬さんの旦那は前作では蒼によって殺されたという考察が主流だったが、今作では直接的な描写は無くとも蒼が殺害したことがほぼ確定。ただ、前作では人物像が描かれなかったために罪のない人を蒼が殺したと思われたが、今作で判明した小手毬さんの元旦那はどクズ野郎だったので、殺されても文句は言えねぇなと思ってしまった。

また前作の描写では店長こと小手毬さんも蒼が旦那を殺した事を知っていたのではないかと言われていて、今作では血痕を発見してそれを掃除するという証拠隠滅を図ったのような行動をするも、これは上述の視覚や嗅覚の病によって血痕がただの汚れに見えたのだと思われる。
その後の言動から考えても小手毬さんは元旦那が死んでいることを知らないのだと思う。ココに関しては前作の考察に比べるとまだ救いがあるような、ないような・・・。

他にも、前作のCパートでは蒼にバイトの後輩が登場していたが、これが本編後の話なのか本編前の話なのかが考察されていて、本編開始前の出来事なら本編のときにはバイトは蒼しかいないのでこの後輩は蒼に殺されたのではないかという物騒な考察があったが、本作で同一人物がフラワーショップ花組にアルバイト応募の電話をかけ、蒼を採用したから断るというシーンがあったため、前作のCパートは本編後の話と考えられる。

よかった!先輩に殺された哀れな神楽すずはいなかったんだね!

同時に前作のCパートでは誰かが「蒼」を訪ねて来ていたが、蒼は殺人に手を染めていたのでついに警察が現れたのではないか。とも取れる描写だったが、今回で前作Cパートが本編後だった事が判明したのでいよいよ警察が殺人犯として「蒼」を逮捕しに来た、あるいは容疑者として話を聞きに来たという線が濃厚になったと思う。白爪草の量から考えるに蒼が殺したのは一人や二人ではないだろうからね。

前作の展開&前日談ということで悲惨な話になるとは思っていたけど、案の定ってところですね。
むしろ、想像よりも遥かに小手毬さんが救いのない人だった・・・。

しかし、散りばめられた伏線とそれをどんどん回収していくシナリオの面白さ。
前作の要素すら考察材料となる考察の楽しさ。

今回も非常に楽しませてもらいました。

まだまだ常連さんや紅、白椿家など掘り下げて欲しい人々はいるのでこれからもスピンオフ制作期待してます。

特にちえりお嬢が演じる常連さんはぜひとも掘り下げて欲しいなぁ。あのフラワーショップ花組の常連になれるとか、絶対闇深くてドラマ持ってるぞあの人。

あと小手毬さんのクズ元旦那を演じたリクム姐さん。
確かに.LIVEメンバーで男性役を誰がやるかと言ったらリクム姐さんしかいないんだけど、男というには女性みたいな声色で「百合ップルだった!?」とか思ってしまったw
まぁ、.LIVEで男性VTuberって言ったら馬しかいないし、馬にクソ旦那ムーブされても視聴者的には笑いしか出てこなくて雰囲気ブレイカー間違いなしなんだけどw
実際旦那が男とは明言されていないし(哲学)、今やってる機動戦士ガンダム水星の魔女だって女の子のスレッタが「花婿」なんだし、小手毬さんと元旦那が百合ップルだった可能性は0ではない!・・・かも。
(まぁ、いくら百合ップルでもあんなクズ旦那は勘弁だがな。)









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