この記事は2019/08/16に書いたものです。
先日ドラゴンクエストYOURSTORYを見てきたのでその感想を・・・。
当然ながらネタバレ全開となりますのでこれから見に行く人は先に映画を見てね!
まぁ、私がいきなり何の脈絡もない物のレビューをするなんて「コレ」の時以来なんで・・・
皆さんお察しの通り、今回の目的は怒りを吐き出すことさ!!!
感想
本作は国民的RPG「ドラゴンクエスト」。その中でも特に人気の高い「ドラゴンクエストV」を原作とした映画である。
ドラクエVが原作ではあるが、タイトルが違う事からも分かる通り「ドラゴンクエストV」の映画ではない。
ちなみに私はドラクエVをプレイしたことはあるが、クリアまではやってない。RTA動画などは見ているので内容やストーリーは全て知っているって感じ。ビアンカ派。
ストーリー面はドラクエVを極限まで圧縮したような感じで、幼年期は完全にダイジェストである。このため幼年期の重大イベントであるビアンカとのおばけ退治もダイジェスト。妖精の国は影も形もない。幼年期最後の大イベントであるヘンリー誘拐からパパス死亡も割とあっさり流される。
青年期になってもこのダイジェストっぷりは変わらず話を簡単にするためにサンタローズは壊滅せず、主人公はずっとサンタローズを拠点に活躍する。このため主人公の故郷であるグランバニアは影も形もない。ついでに王子設定も影も形もない。といった感じ。まぁ、この辺は映画の尺に収めるためには仕方ない。が、このダイジェストにしてしまった弊害として嫁選びの一幕がある。
結論から言うと主人公はビアンカを選ぶ。が、この時主人公は昔の思い出話をしながらビアンカにプロポーズするのだが先述の通り幼年期が完全ダイジェストで進むため見ている側からすれば「お前は一体何を言っているんだ?」状態になる。かといって原作を知っている人からしてもビアンカの性格が原作から改変されているため「ビアンカってそういう子だっけ?」という事になってしまうので、重大イベントの嫁選びが全力で視聴者を置いてきぼりにする。
とはいえ、原作を改変しつつも見どころはしっかり用意しており、真の勇者が天空の剣を引き抜くシーン、主人公とゲマの激突、主人公と息子が力を合わせてのゲマ撃破などは普通に熱いシーン。また、ゲマの用意した大群に苦戦する主人公たちを救うためヘンリーが援軍を率いて加勢に現れるシーンは改変によって生まれた名シーンと言えるだろう。
そんな感じで突っ込みどころは多いけども、しっかり見どころは用意されていてこの辺りは楽しく見ていた。
---------------------- ココから先映画の核心を突くネタバレ ------------------------
引き返すなら今!
見ますか?
本当に見ますか?
後悔しませんね?
本作最大の問題はラスト十数分に訪れる。
激闘の末、主人公親子はゲマを倒す。が、ゲマは最後の力を使って魔王ミルドラース復活を成し遂げる。
ついに魔王ミルドラースが降臨し、世界を救うための最終決戦が始まる!
・・・と思いきや、現れたのはドラクエの世界には全く似つかわしくないサイバー全開な謎の敵。
しかもそいつは自分を「コンピュータウイルス」と名乗り「テクスチャ・オフ」とか「グラビティ・オフ」とか「コリジョン・オフ」とかいう技を駆使して世界を破壊していく。
と、ここでネタばらし。
なんとこの世界は「VRゲーム ドラゴンクエスト」の世界で、主人公はそれを遊んでいるプレイヤーだったのだ。主人公がそういう素振りを見せなかったのはゲームに没頭するためにリアルの記憶をゲームプレイ中は封印されているからであった。
つまり、今までの冒険も愛する妻も息子も憎き宿敵も全てプログラムのまがい物だったのだ!
そして、ミルドラースの代わりに現れた謎の敵はVRゲームを破壊するために送り込まれたウイルスだった!
最終的に主人公は「ゲームはまがい物じゃない!もう一つの現実だ!」としてそのコンピュータウイルスを撃破。
自分の旅の終わり=ゲームの終了を感じながらもこの冒険を忘れないと誓うところで映画は終了する。
総評
ふざけるなぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
私はドラクエを見に行ったんだ!VRゲームの映画なんて見に行ったんじゃない!
あのドラクエの世界での冒険を描いてくれればよかったんだ!他人が遊んでいるゲームを見に行ったんじゃない!
そもそも、どこが「YOURSTORY(あなたの物語)」だ!VRゲームを遊んでいるプレイヤーの物語じゃないか!
主人公が言っていた「ゲームはただのプログラムじゃない。もう一つの現実だ!」という言葉は共感できる。私もそう思いながらゲームを遊んでいる。なのに、そんな台詞を言っておきながらなぜ作中で「ゲームはプログラムでしか無い」という現実を叩きつけた!主人公の言葉を作品が否定しているじゃないか!
日本のRPGの象徴。日本製ファンタジーの象徴を題材にしておきながら、なぜこんな作品に仕上げた!
ドラクエを何だと思っているぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!
と、いった感じで一緒に見に行った友人と今まで見てきた映画ワースト1認定をした映画になったとさ。
徹頭徹尾クソ映画ではない。
むしろ、上述したように「ドラクエ」の部分は突っ込みどころはあれどストーリーを纏めつつ見どころも用意しているのでこれはこれで面白い作品と言えた。
また、伏線や意味深な映像を見せておきながらそれらを完全放置して終わる作品も多い昨今、序盤に感じる「違和感」や「原作との相違点」を(やり方は最悪だが)しっかり種明かししているところは評価できなくもない。もっとも、あんな展開にしなければ「メディアの違い」で終わる話であるが。
この作品をダメにしているのは最後の十数分であり、あそこで普通にミルドラースが出てくれば賛否両論はあれど「悪くない映画」程度で収まっただろう。
この映画を見に行く人の大半はドラクエが好き、あるいはゲームが好き、ファンタジー世界の冒険物語が好きという人が大多数を占めるだろう。そんなユーザー層に対してあの展開は喧嘩を売っているとしか思えない。
残念ながら他人に勧められる作品ではない。