ウルトラマンの話

作品紹介 帰ってきたウルトラマン

2017年10月13日

この記事は2017/10/13に書いたものです。

今回紹介するのは昭和第二期ウルトラシリーズの始まり。帰ってきたウルトラマンを紹介です。

概要

ウルトラセブンでウルトラシリーズを一時休止した円谷プロ。
それから色々あってウルトラファイトという番組を制作したのですが、これが予想外の大ヒット。
これにより怪獣ブームの機運が高まっていることを受け円谷プロが制作したのが帰ってきたウルトラマンです。

この作品の特徴は人間ドラマを重視した事。

完全無敵なヒーローでは無く未熟なヒーローが戦いの中で成長していく物語が展開されたのです。

その為、ウルトラマンの主人公ハヤタ、ウルトラセブンの主人公ダンがそれぞれヒーローとして完成していたのに対し、今作の主人公郷秀樹(ごう ひでき)は未熟な青年でありウルトラマンに変身できることに慢心したり他の隊員たちと衝突する事があったりしました。ちなみに史上初ウルトラマンに変身を拒否された主人公でもありますね。

そんな彼が幾多の戦い、出会いと別れを経て一人前に成長していく姿が描かれます。

そんな彼と一体化するのが今作のヒーローウルトラマンジャックです。
「ウルトラマンじゃないの?」
「帰マンだろ?」
「何言ってんだ新マンだろ。」
「ウルトラマン二世だよね?」
「むしろ向こうが初代ウルトラマンでこっちがウルトラマンだろ?」
・・・この話は後述で。ちなみに劇中では「ウルトラマン」と呼ばれていまして、「ウルトラマンジャック」という名前は出てきません。この話も纏めて後述で。

成長していくヒーローというのはウルトラマンも同じで序盤ではウルトラマンが怪獣に負けてしまい、リベンジで勝利するという展開が度々ありました。
同時にウルトラマンと怪獣の戦いの舞台を街中ではなく郊外や山奥などで行わせるストーリー展開となっています。前々作、前作ともに予算の使いすぎで後半が大変な事になってしまったので街のミニチュアを減らすことで予算削減を狙ったんですね。

シリーズおなじみの防衛チームとして怪獣攻撃隊MAT(マット)が登場。正式名称はMonsterAttackTeamでその頭文字を取ってMAT。これ以降、ウルトラシリーズでは正式名称を英語にして頭文字を取って略すというのが防衛チームのお決まりとなっていきます。
ウルトラマンと一体化した郷はここにスカウトされるのですが、同じくスカウトで入隊したウルトラセブンのダンがその次の回では部隊に馴染んでいたのに対し、郷は自身がウルトラマンと一体化して超人的能力を得て慢心していたこともあって隊員と衝突しギクシャクしてしまう所から始まります。ここでも人間ドラマが展開され彼らが打ち解けていく姿が描かれました。

そんなMATですが戦績はいまいち芳しくなく長官より「怪獣を退治できないならMATは必要ない。解散だ!」とちょくちょく現実を突きつけられております。この事から付いたあだ名は「解散MAT」(まぁ、この長官は長官でMATが駄目でも無敵のウルトラマンがどうにかしてくれるさ。とか言ってしまう歴代屈指のドアホなんですが)。

その一方でウルトラマンとの共同戦線では数多くの戦いでウルトラマンの勝利に貢献しており援護の鬼と呼ばれる高い援護能力を見せつけてくれました。

こうして始まった帰ってきたウルトラマンでしたが、ウルトラマンが負けてしまうという展開は子供たちに受け入れられず視聴率が低迷テコ入れが図られることになります(これが昭和ウルトラシリーズと切っても切れない路線変更の始まりである)。

テコ入れに関して円谷プロは子供たちにアンケートを実施。その結果、子供たちは誰が相手でも負けないようにウルトラマンをパワーアップさせる事と、かつてのヒーローの再登場を希望している事が判明。

この結果を受けて、ウルトラマンのパワーアップアイテム「ウルトラブレスレット」が登場。ウルトラシリーズにおいて史上初となるヒーローが強化されるという展開となりました。

このウルトラブレスレットを手に入れてからのジャックの勝率はみるみる上昇。子供たちが望む絶対無敵のウルトラマンとなったのです。・・・もっとも、そのせいで「ブレスレットが本体」という悲しいネタを生んでしまうことになります。「宇宙人にコントロールを奪われたブレスレットに手も足も出なかった」事や、「ジャックがバラバラにされてもブレスレットの力で復活した」という描写が劇中にあったことがネタを加速させることになってしまいます。

で!す!が!ブレスレットが効かない相手を手刀で撃破した事もあれば、ラスボスはスペシウム光線で撃破したりと決してジャックが弱いということはありません!

とまぁ、ジャックの代名詞でありアイデンティティであるブレスレットですが、現在の設定では宇宙警備隊の基本装備の一つになっているらしく、宇宙警備隊の隊員なら誰でも使えるそうです。ジャックェ・・・。

そんなウルトラブレスレットをジャックに届ける役目をウルトラセブンが担ったことで子供たちのもう一つの希望である過去のヒーローの再登場も果たされました。

その一方で当初の路線である人間ドラマもより一層の充実が図られ人気を回復する事に成功。

良作も数多く生み出され、その中でも1971年11月は放送された作品が全て高い完成度を誇っていたことから「11月の傑作群」と呼ばれ評価されています(ウルトラ屈指の問題作エピソード「怪獣使いと少年」もココ)。

その中で歴代ヒーローとの共演はウルトラセブンだけでなく、ついに初代ウルトラマンとも共演を果たしました。が、ここで一つ問題が発生します。

というのも、作品タイトルから分かる通り今回のウルトラマンは初代ウルトラマンが地球に帰ってきたという設定で企画された・・・というか、放送開始当初はその設定でした。なので劇中でジャックは「ウルトラマン」と呼ばれていたのです。そもそも、放送当時は「ウルトラマンジャック」という名前すら無く、視聴者も「これはウルトラマンなんだな」と思ってたのが初代ウルトラマンが出てきたことで別人という事になってしまい「え!?じゃあこれ誰!?」ということになってしまったのです。

とりあえずのところ初代ウルトラマンとは別人という事になりましたがウルトラシリーズの本編ですら「新ウルトラマン」とか「ウルトラマン二世」とかで呼び方が安定せず、作品タイトルから「帰ってきたウルトラマン」と呼ぶ人もいれば逆に初代の方を「初代ウルトラマン」と呼ぶことで区別したりしてました。

結局のところ放送終了後10年ぐらい経ってから正式に「ウルトラマンジャック」という名前に公式は落ち着きましたが、長らく色々呼ばれていたため当時のファンからは「今更名付けられてもしっくり来ない」という意見が多々あったそうな。ちなみに郷を演じた団次郎さんも似たような事を言ってます。ついでに円谷プロもこういったファンの声を知っているようで後のウルトラマンメビウスの時代にこれをネタにした演出をしています。

とまぁ、路線変更による混乱はあったものの、人間ドラマの強化、成長する未熟な主人公、歴代ヒーローとの共演、ウルトラマンのパワーアップといった現在のウルトラシリーズにも通じる雛形となった作品なのです。

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INABA的おすすめエピソード

第41話「バルタン星人Jrの復讐」

郷の弟分の少年坂田次郎は悪質な宇宙人の魔の手によって数少ない肉親であった兄と姉を失ってしまった。坂田兄妹は郷にとっても大切な人であり、天涯孤独の身になってしまった次郎を引き取る郷。
次郎の兄代わりを努めようとする郷だったが次郎を心配しすぎるあまり空回りしてしまい、二人の間にはギクシャクした空気が流れていた。
そんな中、風邪で寝込んでいる次郎の夢の中に次郎の兄が現れる。彼は流星に気をつけろと言葉を残すと消えてしまった。夢に飛び起きた次郎。彼がベランダに出たその時、空から赤い流星が飛来。流星は建設中のビルに吸い込まれるように消えて行ったが、次郎はそのビルにバルタン星人の影を見る。
次郎は自分が見たことを郷に話すも郷は次郎の風邪を心配するあまり、次郎の言葉に耳を貸そうとせず無理やり寝かしつけてしまう。
しかし、バルタン星人の復讐計画は密かに着実に進行しているのであった・・・。


タイトルから分かる通りウルトラ戦士の因縁の相手バルタン星人が登場するエピソードなのですがそんなものはどうでもいい!!(まぁ、ウルトラ戦士の因縁の相手という肩書すら近年出てきたエンペラ星人やウルトラマンベリアルに奪われている感があるわけですが・・・。最近バルタンさん出てこないしね。)

このエピソードの見どころは郷と次郎の人間ドラマ。亡くなってしまった恩人に代わり「兄」を努めようとする郷と郷に「兄」を求めていない次郎のすれ違いが描かれます。

このエピソードの最後で郷は自分の過ちを認め、ある決意を次郎に語るのですが、



私!!




この時のセリフが大好きでして!!!



帰ってきたウルトラマン最高の名シーンだと思っとるんです!!!!



ぜひ見てほしいです!!!!!

紹介動画

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