アニメやゲームの話

スーパーロボット大戦64

2019年7月23日

この記事は2019/07/23に書いたものです。

ギルドでスパロボの話になったので語りたくなった。

なので今回は人生初スパロボにしてファンの間で今尚根強い人気を誇る名作

「スーパーロボット大戦64」のお話です。

スーパーロボット大戦64

©BANPRESTO / MONEGI

発売は1999年。タイトル名からも分かる通り対応ハードは「ニンテンドー64」。

当時既に64は下火になっていた事もあって64唯一のスパロボ作品。

開発会社は招布とエーアイ。エーアイは近年の携帯機スパロボの開発を担当している会社であり、始めて開発に参加したスパロボでもある。招布は任天堂とハドソンの共同出資によって生まれたハドソンの子会社であり、ニンテンドー64の開発ノウハウを持っていなかったバンプレストに変わって開発を担当した。また長らくスパロボを開発してきたウインキーソフトは一切関わっていない。

カードリッジ媒体であるため容量の関係からキャラクターボイスは無く、戦闘アニメで機体は動かない。そのかわりセーブとロードはめっちゃ速い。

戦闘アニメに関しては機体のかわりにカメラが動く様になっており奥から手前への突撃など機体こそ動かないものの迫力のある演出がされている。この2Dグラフィックで3D的なカメラワークを使った戦闘アニメはこの作品で採用されて以降はPS3で発売された「第2次スーパーロボット大戦OG」まで同様の手法を用いた作品は存在していなかった。戦闘アニメスキップは無いものの演出はシンプルなので特に苦にはならず、テンポは良好。

参戦作品一覧

★マークはシリーズ初参戦作品。

超獣機神ダンクーガ
蒼き流星SPTレイズナー
機動戦士ガンダム
★機動戦士ガンダム 第08MS小隊
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
機動戦士Ζガンダム
機動戦士ガンダムΖΖ
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
機動武闘伝Gガンダム
新機動戦記ガンダムW
無敵鋼人ダイターン3
聖戦士ダンバイン
マジンガーZ
グレートマジンガー
UFOロボ グレンダイザー
ゲッターロボ
ゲッターロボG
真・ゲッターロボ(原作漫画版)
超電磁ロボ コン・バトラーV
★六神合体ゴッドマーズ
★ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
戦国魔神ゴーショーグン
機動戦士ガンダムF91
無敵超人ザンボット3

参戦作品一覧には書いてないが新機動戦記ガンダムWと聖戦士ダンバインはそれぞれのOVA作品から機体のみが隠し要素として参戦している(隠しというわりにはEW版のウイングゼロがパッケージにいるのは内緒だ)。

この内ストーリーの中心となるのはダンクーガ、レイズナー、ガンダムW、ゴッドマーズなど。特にガンダムWは本作の舞台がガンダムW原作の舞台である「アフターコロニー(AC)195年」だったり、自軍がガンダムWの敵組織であるOZに参入したり、ガンダムWに登場するサンクキングダムの傘下に入るルートがあったりと優遇されている。

逆にシナリオ上で不遇なのは第08MS小隊。第08MS小隊は当時原作が完結していないため主人公のシローとヒロインのアイナ、2人の機体であるガンダムEz-8とアプサラスが参戦しているだけ。シナリオ再現もシローとアイナの恋物語ぐらいしか行われないし、シローの部下である08小隊の面々やアイナの兄ギニアス、ギニアスとアイナの忠臣ノリスなどの主要キャラクターも出てこないなど扱いが悪い(が、アプサラスはしっかり改造すればリアル系最強候補の一角だったりする)。

ストーリー

人類が増えすぎた人口を宇宙に意味させる様になってから2世紀近く。

地球と宇宙の対立は一年戦争という戦乱に発展してしまう。

多くの犠牲の果てに一年戦争は集結するが、その傷が癒える間も無く宇宙からムゲゾルドバス帝国が地球に襲来。疲弊していた地球にはムゲに対抗できる戦力は残っておらず地球は帝国の支配下に置かれる。

だが、人々はまだ希望を捨てていなかった。

帝国の支配から地球を解放すべく戦う者たちがいたのである・・・。

さて本作が名作として語られている最大の理由。それがこの秀逸なストーリーにある。

これまでのスパロボは侵略者から地球を守るための戦いが描かれていたが、今作ではダンクーガの敵であるムゲ帝国によって地球が制圧された状態からストーリーが始まる。つまり、地球を守るのではなく地球を取り戻すストーリーなのである。

スパロボといえば数々のスーパーロボットが一つのチームとなって地球を守る華やかなイメージがあるが、今作では主人公たちは小さなレジスタンスを結成して細々と抵抗しているなどリアリティがあり泥臭いシナリオとなっている。

また近年では当たり前となっている「オリジナルキャラクターがストーリーの中心」という形式を初めて採用した作品でもあり、今までのスパロボに比べて主人公がシナリオによく絡むのも特徴。特にとあるオリジナルキャラの存在は戦争の悲惨さを示し、本作の作風の象徴となった。主人公がリアル系スーパー系の男女計4人いて選んだキャラによって機体やシナリオ展開が変わるシステムはαシリーズの先取りと言える。

システム

後の作品に搭載されているシステムが多く実装された。

合体攻撃

マジンガーZとグレートマジンガーの「ダブルバーニングファイヤー」、ゴッドガンダムとライジングガンダムの「石破ラブラブ天驚拳」など複数のユニットによる合体攻撃が初実装された。

構想自体はかつてからあったのだがプレステ、セガサターンのディスク媒体だとロードの問題から見送られていた。

後に技術の向上により問題が解決した様でプレステの「スーパーロボット大戦α外伝」から標準搭載となった。

恋愛補正

ジュドーとルー、ショウとマーベルなど恋愛関係にあるユニット同士が隣接すると効果が発生し、最大30%もの補正が発生する。

ビーチャ→エルみたいな片想いもある。

敵レベルの変動

味方部隊の中から上位15名の平均レベルが敵のレベルとして設定されるシステム。

こうする事で味方が育ちすぎて敵のレベルが低すぎるという事態を防ぐことが出来る。

その一方で敵のレベルが高いと言うことは味方のレベルもどんどん上がっていくということなので・・・(詳しくは後述)。

またこのシステムを活かすためなのか隠し条件の中に「とあるパイロットのレベルが登場する敵パイロットのレベルを越えている」というものがあある。

撃墜数ボーナス

今作では撃墜数に応じて獲得資金が増えるというボーナスが実装されている。

言うまでもなく後のエースボーナスの先駆け。

リンクバトラー

スパロボ64発売の少し前にゲームボーイでは「スーパーロボット大戦リンクバトラー」というゲームが発売している。スパロボ64とリンクバトラーは世界観を共有しており、参戦作品も全く同じである。

64の周辺機器である「GBパック」を用いることでスパロボ64とリンクバトラーを「リンク」させる事ができ、これを行う事で

・リンク限定の隠しユニットの出現

・パイロットのレベルを高い方に合わせる

という特典が得られる。

例えば64にもリンクバトラーにもアムロがいるのだが64がレベル1、リンクバトラーがレベル99の場合に「リンク」をする事で両方ともレベル99に出来るといった感じ。リンクができるのはスパロボ64の第2話からなので第2話から主人公をレベル99に出来たりする

もっとも、前述の通り味方のレベルが上がれば敵のレベルも上がるのでとんでもないスーパーインフレ対戦の幕開けになるのだが・・・。

バグ

ゲームバランスに多大な影響を与えるバグが存在している。

限界バグ

限界とはユニットのパラメータの一つであり、その名の通りユニットの限界を示す値。パイロットの「命中」と「回避」の値にユニットの「運動性」を足した数値が「限界」を超えていると命中率と回避率に大きなマイナス補正がかかってしまうというもの。

「ガンダムの性能が僕の反応に追いつけないんだ」という状況を生み出すものなのだが、バグによってこの値が正常に動いておらず仮に限界を超えてもマイナス補正が発生しないというもの。

そのため、今作において限界を改造する意味は(とある5機を除いて)全くない。

聖戦士、超能力バグ

聖戦士、超能力は特殊技能と呼ばれるものでありこれを所持しているパイロットは命中率、回避率、攻撃力にプラス補正が入るという技能。聖戦士はダンバイン系のパイロット、超能力はゴッドマーズ系のパイロットが所有している場合が多い。

この2つの技能はレベル制になっており技能レベルが上がれば効果も上がるという仕様なのだがバグによって技能を所持していれば技能レベルに関係なく最大レベルの補正が受けられる様になっている。代わりに、と言っていいのかは疑問だがバグによって攻撃力補正は動いていない。

超能力は更にバグが起きていて本来なら命中回避共に30%程度の補正が64%というアホな補正になってしまっている。

このバグを最大限に活かせるのが新規参戦のゴッドマーズであり、パイロットのタケルが超能力を持っている事によってゴッドマーズはスーパー系でありながら避けるし当てる。そこに元々の高い攻撃力も相まってスーパー系最強ユニットの名を欲しいままにした。

ちなみに似たような補正があるニュータイプ、強化人間の技能にはバグは発生していない。どういう事なの・・・。

ダミー

悪評名高きスパロボ史上最悪のシステム

スパロボ64に搭載されたシステムの中でも特に(悪い方で)有名なのがこのダミーである。

どういうシステムかというと「ダミーを持っている敵に攻撃を当ててもダミーの回数分はダメージを与えられない」というもの。

つまりどれだけの最強の攻撃を当てようともダミーがある限り敵はノーダメージ。しかもこっちはしっかり反撃を受けるというオマケ付きである。当然攻撃のために消費したENや精神ポイントは返ってこない

攻撃を当てる事でダミーが消費され0になればダメージを与えられるのだが「敵がダミーを持っているか」「ダミーが何回残っているか」といった事はゲーム中に一切表示されず攻撃を当ててみるまで分からないという不親切仕様

また「ダミーがある間は攻撃が必中になる」的な補正は一切ない為、ダミーがある場合でも普通に攻撃を回避してくる。そしてダミーが消費されるのは「攻撃が当たった時」なので回避されるとダミーを剥がす事もできない。と、完全に敵を有利にするためのシステムであり、システム周りの不親切さもあって大不評となり以後の作品で実装されることはなかった。

ダミーを持っているのがサザビーに乗ったシャアだったりキュベレイに乗ったハマーンだったりジ・Oに乗ったシロッコだったりと回避率の高いリアル系ボスユニットばかりだったのも不評を買う要因となったと思われる(ダミーの元ネタがガンダムなので当然といえば当然ではある)。

なんでこんなシステムを作ったのかというと「ボスの威厳を保つため」である。

というのも当時は今の様にユニットのHPを十万単位にすることが出来ず、本作におけるユニットHPの最大値は65535である。そして本作のダメージ計算式はレベルの上昇によって攻撃力は上がるが防御は全く上がらないという仕組みになっており、上述の敵レベル設定システムやリンクバトラーとのリンクもあって味方のレベルが高くなりやすく後半は当たれば死ぬという超インフレになりやすい。ボスキャラも例外ではなく当時は精神コマンド魂の補正が「ダメージ3倍」だった事もあってシャアもハマーンもシロッコもワンパンが当たり前という状況に陥ってしまった。それではボスとして威厳が保てないためにダミーによって戦闘が長引く様にしたのである。

という事情があるにしても理不尽が過ぎるというものである。

ちなみにダミーを持たないスーパー系ボスの方は撃破した後に復活するという仕組みで対応していることが多い。何回か倒さないといけないダルさはあるがダミーよりはマシである。

現在

根強い人気があり最新ハードでのリメイクやバーチャルコンソール化、スパロボオリキャラ達が集結するOGシリーズへの参戦が待望されている。

が、開発会社の一つである招布がすでに解散しており版権が複雑な事になっているらしく上述のユーザーの希望は全て達成されていない。

スパロボシリーズを統括する寺田プロデューサーもこう言ったユーザーの声は把握している様で本作を名指しして「今は無理」と言及しているほどである。一応「今は」との事で今後はどうなるかわからないとの事だがやはり可能性は低いのだろう。

とはいえ様々なサプライズを用意してきたスパロボシリーズ。いつかまた日の目を浴びる事を期待したい。

ちなみに後にGBAで発売し、OGシリーズにも参戦した「スーパーロボット大戦A」に登場する主人公機はこの作品の主人公機を元にデザインされている。64が日の目を浴びられない代わりという事なのか・・・?

©BANPRESTO / MONEGI
オリジナル機体&主人公。
彼らが再び表舞台に立つときは来るのか・・・。









-アニメやゲームの話
-, ,