ウルトラマンの話

作品紹介 ウルトラマンネクサス

2017年8月12日

この記事は2017/08/12に書いたものです。
今回紹介するのはウルトラシリーズ最大の異色作であり意欲作であり問題作であり
ファンの間で語り継がれる名作であるウルトラマンネクサスです。
つい最近一気見しました!その勢いで紹介です。
今回は長なりまっせ!
©円谷プロダクション
引用元:ウルトラマンネクサス が見放題! | Hulu(フールー) 【お試し無料】

概要

このウルトラマンネクサスを語る上で外せないのが「ULTRA N PROJECT」の存在。
このプロジェクトは次世代に向けウルトラマンの視聴年齢層を引き上げようと言うもので
このコンセプトの元、ネクサスは大人向けウルトラマンを目指し制作されました。
そのため従来のウルトラマンとは違う要素が数多く導入されたのです。

・連続ドラマ構成

歴代のウルトラマンは一話完結の方式で話が作られており、平成に入ってからは話と話に繋がりを持たせることも多くなりましたが一話完結方式のままでした。
ネクサスにおいては大人が見るということで一話で話が完結しない連続ドラマ方式を採用。そのため、毎回終わりの際には「to be continued」と表示され、ウルトラシリーズでは珍しく伏線が貼られたり、同じ怪獣が数話に渡って登場していました。

・異形の怪物「スペースビースト」

歴代作品の怪獣に当たる存在がこのスペースビースト。通称ビースト。
ウルトラ怪獣といえば怖さ、カッコよさにどこか愛嬌のあるデザインが特徴でしたが今回のビーストは愛嬌?カッコよさ?なにそれ美味しいの?と言わんばかりに恐怖とグロテスクを全面に押し出したまさに異形の怪物というべき存在に仕上がっています。

©円谷プロダクション
引用元:ウルトラマンネクサス
お前ら本当にウルトラ怪獣か?

更にビースト達は人間を主食としており毎回のように人間を捕食するシーンが描かれます。
一応かつてのウルトラシリーズにも人間を食した怪獣はいるのですが、そのシーンは描かれなかったりぼやかされたりしてるのですが、こいつらは思いっきりカブリといった挙句、咀嚼音と共に人間を飲み込むというなんとも不気味な演出がされ数々のトラウマを生み出してきました。特にノスフェルというビーストは7週連続で登場し、主人公と作中の少女と視聴者とクリスマス商戦の玩具の売上をねらった玩具メーカーに容赦のないトラウマを植え付けました。

・ビーストとそれに立ち向かうウルトラマンと防衛チームの存在が秘匿された世界

ビーストと戦うウルトラマンと防衛チームですが、今作ではビーストの存在は一般市民には完全に秘匿されています。
そのため、ビーストに立ち向かうウルトラマンと防衛チームも必然的に秘匿されることになります。
ウルトラマンと防衛チームといえば作中の子供たちのあこがれのヒーローですが今作ではそんなシーンは一切ありません。

・実働攻撃部隊ナイトレイダー

秘匿された防衛チーム「ナイトレイダー」ですが、厳密には彼らは防衛チームではなくビースト殲滅を目的としたチームなのです。
ビーストを倒せば地球を守れるんじゃないの?と思うでしょうが、彼らはあくまでビースト殲滅を第一としており、その為に市民を見捨てる作戦を取ることもあったり、街一つを囮として使用するなどビースト殲滅のためには手段を問わないチームなのです。更にビーストを倒すために現れたウルトラマンをビーストと同じく敵と認識して攻撃したこともあり、その攻撃の結果ウルトラマンが追い詰めていたビーストに撤退する隙を与えてしまったこともあるウルトラマンと防衛チームは協力するものというお決まりを覆したチームでもあります。その一方で実力は本物でウルトラマンに頼らずとも数多くのビーストを撃破しており、多くの視聴者から「これウルトラマンいらなくね?」と言われるほどで歴代防衛チーム最強候補として名前が上がります。攻撃部隊であるナイトレイダーとは別に現場からビーストの痕跡を一つ残らず消し去るホワイトスイーパー、ビーストやウルトラマンを目撃した人物の記憶を消す(相手が子供であっても決して逃さない)メモリーポリスといった別部隊が存在し、これらが連携して秘密裏にビースト殲滅を行っているなんとも胡散臭い組織なのです。

・主人公がウルトラマンに変身しない

ナイトレイダーに所属する主人公「孤門一輝(こもん かずき)」。ナイトレイダーには相応しくないと言われてしまうほど心優しく非情になりきれない彼ですが、なんと主人公でありながらウルトラマンに変身しないのです。ウルトラマンを危険視するナイトレイダーの中で孤門はウルトラマンに命を救ってもらったこともあって最初からウルトラマンを信頼し、その正体を知ることになるのです。彼らと共に戦いその戦いを見守る立場にあり、このウルトラマンとの交流が彼を大きく成長させていくのです。近年のアニメ作品で言えば社会的ブームとなった魔法少女まどか☆マギカのまどかと同じ立場です。まどマギの設定を作った脚本家は特撮好きとして知られているので孤門を参考にしたのかもしれませんね。

・ウルトラマンに変身する人が複数いる

主人公の代わりにウルトラマンに変身する人物がいるのですが、これが複数存在します。と言うと近年の仮面ライダーみたいにウルトラマンが何人もいると考えそうですが、あくまでウルトラマンは一人だけ。この一人のウルトラマンの光が複数の人々に受け継がれていくストーリーが展開されます。彼らの存在が孤門を大きく成長させるのですが、ウルトラマンとなった彼らもまた戦いや孤門との交流を通して成長していくことになります。
ちなみにウルトラマンに変身するのは防衛チームの隊員ではなく民間人です。民間人が変身するウルトラマンはギンガ、オーブに現在の最新作のジードと近年ではむしろ主流になってますが、この時代では異例でした。

と、挙げてみただけでも今までのウルトラシリーズとは全く違う作品に仕上がっており、ある程度感じ取れたかもしれませんが話の展開や描写は非常に重く、正に大人向け作品として仕上がっております。

こんな作風なのでいままで平成ウルトラマンを放送してきた土曜午後6時の放送枠は使わせてもらえず放送時間の変更を余儀なくされました。

そうしてネクサスに与えられた放送時間は毎週金曜深夜31時半。ネクサスは深夜番組になったんですね。


・・・31時半?一日は24時間だから、31-24=7時・・・でもって翌日になってるわけだから・・・

 

土曜朝7時半!?


そう、ここまで大人向けの作品に仕上がっておきながらネクサスに与えられた放送時間は朝7時半という爽やかな時間。しかも、土曜日というバリバリのキッズタイム。

そして新しいウルトラマンということで多くの子供たちが視聴したのですが、子供たちを待っていたのは
・重く理解しずらい上になかなか進まないストーリー(ついでに昼ドラ真っ青のドロドロっぷり)
・恐怖しか感じない造形の怪獣とそいつらによる容赦のないグロテスクでバイオレンスな描写
・胡散臭くウルトラマンを攻撃する防衛チーム


・怪獣を倒せないウルトラマン


と、子供たちの期待したウルトラマンはそこにはなく、容赦のないトラウマの数々を植え付けてしまったのです。

これには普段は的外れな批判しかしないPTAやマスコミからも「子供が見る時間になんて番組やってるんじゃあ!」とぐうの音も出ない正論を突き付けられることになります。

ちなみに、上記の深夜31時半というネタはこういった批判に対して「うるせぇ!これは深夜31時半の番組なんだよ!」というファンの間で生まれたネタ発言から生まれたものです。何を言ったところで土曜朝7時半は土曜朝7時半でしかないのですが。

こうして、視聴率やグッズの販売といった業績は低迷。ネクサスはある判断を迫られます。

それは「路線変更」。

特撮やアニメ作品において人気を回復し製作費を回収するための路線変更は珍しいことではなく、ウルトラシリーズは昭和作品で何度も路線変更をしておりネクサスも路線変更を求められることになります。

しかし、円谷プロが下した決断は路線変更はしない。でした。

たとえ業績が悪くてもネクサスにはファンがいる。路線変更はファンに対する裏切りである。そう考えた円谷プロはネクサスを大人向け作品として完走させることを決定。こうしてネクサスは路線を維持したまま放送短縮という決定が下されました。
放送を短縮すれば製作費の回収は不可能となり企業としては望ましくない選択ですが、円谷プロはそれよりもファンのため、自分たちのこだわりを貫くためにこの決定を下しました。
そして、ウルトラマンネクサスは全50話から全37話に短縮されてしまったものの、大人向けウルトラマンとして走り切ったのです。

嫌な事を言ってしまうとこのネクサスの業績不振と放送短縮はもともと経営が悪化していた円谷プロへの決定的な一撃となってしまい現在の子会社化へと突き進むことになってしまいます。
それでも、円谷プロがこだわり抜いたこのウルトラマンネクサスは今なお多くのウルトラファンとこの作品に参加したクリエイター達に愛され続けています。

ウルトラマンネクサスはアマゾンプライムビデオにて全話見放題配信中です。
連ドラ構成だからこそ、こういったネット配信などの一気見で映える作品です。
かつて怖くて見れなかった子供たちもいままでウルトラマンに触れたこと無い大人たちも
是非一度ご視聴ください。

ウルトラ史上屈指の神曲(当社比)である第3クールEDテーマ「赤く熱い鼓動」もよろしく!
第1クールED「いつも心に太陽を」第2クールED「飛び立てない私にあなたが翼をくれた」も名曲なのでよろしく!
当然、OPテーマ「英雄」「青い果実」も名曲なので、もう全部まとめてよろしく!

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多いなw
連ドラなんで一つだけをおすすめするのが難しいんです。
ついでに連ドラなんであらすじが書けません。ネタバレしかないからね。

早い話が・・・


全話見てください!

紹介動画

TSUBURAYA IMAGINATIONで何故か配信されていないウルトラマンネクサスはDVDでお楽しみください!

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