ウルトラマンの話

ウルトロイドゼロ

2021年5月9日

この記事は2021/05/09に書いたものです。

ウルトロイドゼロ

(C) 2020 円谷プロダクション 「ウルトラマンZ」より

ウルトロイドゼロはウルトラマンZに登場するロボット兵器。

ウルトラマンZの世界では怪獣や宇宙人といった脅威から平和を守るために巨大ロボットが実戦配備されており、これらのロボットは「特空機(とっくうき)」と呼ばれている。

特空機を実際に運用しているのが本作の防衛チーム「ストレイジ」である。

これまで地球では特空機1号セブンガー特空機2号ウインダムを開発。更に宇宙人が使用していたロボットキングジョーの鹵獲に成功し、これを改造した特空機3号キングジョーストレイジカスタムの3機を運用し、ウルトラマンゼットと共に戦果を上げて来た。

そして満を持して開発されたのが特空機4号「ウルトロイドゼロ」である。

見た目からわかる通りこのウルトロイドゼロにはウルトラマンゼットを始め地球に現れたウルトラマンのデータが投入されており、地球の持つ技術の全てを結集して作られた特空機の完成形とも言える機体である。

動力源はキングジョーと同じくペタニウムエンジン。キングジョーに関節が硬いという欠点があった事から従来の特空機と比べて関節駆動が見直され、考え抜かれた可動構造で人間と変わらない程にしなやかに体を動かすことができる。ウルトラ決まるぜ!!

武装は頭のスラッガー部分から発射するエネルギーカッターや額から発射するレーザー光線などウルトラマンっぽい武装と、両腕の機関銃などロボットらしい武装が混在している。またペタニウムエンジンでもたらされる高出力と上述のしなやかな関節可動によって肉弾戦も十分可能であり、劇中では怪獣との3対1という圧倒的不利な状況においてもエースパイロットの卓越した操縦技術によって互角に渡り合える(流石に戦闘が長引くと分が悪かったが)など、その性能は正に人造ウルトラマンと呼ぶのに相応しいものであった。

地球防衛の要として、ウルトラマンゼットと共に並び立つ勇者として申し分ない存在であるウルトロイドゼロ。しかし、ただ一つ。とんでもない爆弾が搭載されていて・・・。

D4

バラバラになった超獣バラバが遺した角のデータを元に作られた超兵器。その原理は超獣たちが持つ次元を操るエネルギーを破壊力に転用するという明らかにヤバそうな代物。

その威力は機動実験において実験場の半径1キロ圏内を消滅させるという恐ろしいものであった。

実際に運用するストレイジの面々からは使用に反対する意見が相次いだが、地球防衛をウルトラマンに頼りきってしまっている現状を憂いた防衛軍は「ウルトラマンに頼らずに地球を守る」事を最優先。D4をアンダーコントロールにあると判断して原理を応用したレーザー兵器「D4レイ」をキングジョーへ強引に搭載。更に一切のテスト運用をしないままD4レイを実戦投入させる。

こうして発射されたD4レイは怪獣軍団を殲滅するという戦果を上げる。が、あまりにも大きすぎる反動によって(戦闘での疲弊もあったとはいえ)キングジョーは行動不能に陥るほどのダメージを受け、パイロットは気絶。更に全く制御できていない次元エネルギーの暴走が発生し、あわや怪獣のみならず周辺地域が次元崩壊によって消滅しかけたところをウルトラマンゼットの光線によって食い止めてもらうという体たらく。宇宙人であるウルトラマンに頼らないために生み出した兵器がウルトラマンなしでは制御できなかったという皮肉な結果であった。

しかし、それでも兵器開発を主導する人物は「街の被害」にも「反動で行動不能になったキングジョー」にも「気絶して次元崩壊に巻き込まれそうになったパイロット」にも目をくれず、「D4レイなら怪獣を殲滅できる」、「ウルトラマンの光線を解析すればD4レイを制御できる」という事しか考えていない有様であった。

その後、ウルトラマンの光線のデータを手に入れたことでD4レイは改良され、その改良版がウルトロイドゼロに搭載されることになった。

劇中での活躍

初登場となったのは第22話だが、ここでは顔見せだけ。

本格的に登場したのは第23話。

ここで大体的にその存在が世間に発表され、公開起動実験が行われることになった。

しかし、ウルトロイドゼロの起動と同じくして各地の怪獣たちが活性化。海から、地中から一度に5体もの巨大怪獣が突如目覚めた。起動実験は中止となり、即座に実戦投入の判断が下される。怪獣出現に合わせて現れたウルトラマンゼットが海の怪獣に向かったため、ウルトロイドゼロは山中の怪獣軍団と対峙。慣らし運転もしていない上に3対1という圧倒的不利な状況であったが、エースパイロットの力量によって奮戦し互角の戦いを演じた。

しかし、戦闘が進むにつれ徐々に追い込まれていき、起死回生の一手としてD4レイを発射。放たれたD4レイは暴走を起こすことなく、怪獣軍団の殲滅に成功する。

次元エネルギーの暴走を制御し、ついにD4レイをアンダーコントロールに置くことに成功した開発チームは子供のように大はしゃぎだった。

しかし、次元エネルギーの制御には成功したものの、その反動は相変わらずでウルトロイドゼロは機能停止。パイロットは気絶し、誰も救助要請をしない中ウルトラマンゼットに救出されるという有様。どう見ても時期尚早。人類には過ぎたる力でしかなかった・・・。

ちなみにウルトロイドゼロの起動に合わせて突如目覚めた怪獣たちであるが、劇中においては「ウルトロイドゼロ及び搭載されているD4レイを危険視して、その排除のために目覚めた」可能性が示唆されている。また、その目覚めは怪獣の意思ではなく地球の意思によるものであるとも言及された。

ああ、だから放送期間中にウルトラマンGの配信してたんですね。

そもそも、ウルトロイドゼロ開発着手前のD4レイ開発の段階でそのエネルギーに惹かれた宇宙怪獣が地球に現れるなど「脅威から人々と平和を守るための特空機」が「脅威を呼び込む存在になっている」という本末転倒としか言いようがない状態になってしまっている。正に手段が目的になったパターンである。

余談

なお、ウルトラマンゼットがいる地球で作られた物なのに、名前も見た目もゼットよりも彼の師匠ウルトラマンゼロによく似ているのは不思議である。

まぁ、見た目に関してはゼロというよりはゼロの力を借りているアルファエッジが元なのかもしれない。アルファエッジは劇中で最も使用された形態であるため、地球人にとっては「ゼットといえばアルファエッジ」という感じで、これをモチーフにするのはおかしな話ではない。

名前に関しても特空機のカテゴリを超えた新たな兵器群として「ウルトロイド」のプロトタイプ「零号機」という意味だと考えられる。そもそも、ウルトラマンゼロは一度地球を訪れてはいるが地球人に向けて名乗ったりは特にしてないのでハルキやジャグラーなどゼロのことを知っている面々が話さない限り地球人は「ウルトラマンゼロ」という名前すら知らないと思われる。恐らく偶然の一致だろう。

メタいことを言えば「ウルトロイド」という単語は既に商標登録されており、使えなかったらしい。

ちなみに当のゼロ本人はウルトロイドゼロのことを知った際には終始不機嫌であった。まぁ、これが大活躍していればノリノリなんだろうが、こんなに危険な兵器じゃねぇ・・・。

もっとも、ウルトロイドゼロが危険なのはD4レイの存在があるためで、これさえ無ければ非常に優秀なロボットでありウルトラマンと並び立つ勇者となり得る存在である。人が搭乗するタイプなので人工知能の暴走といった問題も起こらない。D4レイが無ければ決め手に乏しいという意見もあるが、これについても怪獣をたせるだけの威力があって完全に制御できているペダニウムランチャーを使えばいい。

あまりにも強大すぎる力と徐々に暴走していく防衛軍の前に新規視聴者は勿論のこと、かつてとある人造ウルトラマンのたどった末路を知っている従来ファンからもウルトロイドゼロはこう思われていた・・・

嫌な予感がする!!

視聴者たちの不安の中ウルトロイドゼロは地球の守護者として立つのだった。

その予感は・・・当たっていた・・・。

文明を持つ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を造らせる。

そして最後は自ら造った最終兵器で文明そのものを消滅させる。

それを私はこう呼んでいる。

文明自滅ゲーム!!









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