ウルトラマンの話

ウルトラマンレオ 「MAC全滅!円盤は生物だった!」

2017年12月1日

※この記事は2017/12/01に書いたものです。

あらすじ

ババルウ星人が引き起こしたウルトラキー事件も無事解決し、MACでは誕生日を迎えた隊員の誕生日パーティを開催していた。

和やかな空気の中パーティを楽しむMAC隊員たち。普段は厳しい表情を浮かべる事の多いダン隊長もこの時は心からの笑顔を浮かべていた。

しかし、MACステーションのレーダーが基地へ接近する物体をキャッチ。直ちに緊急配備に移行しようとするMACだったが、その物体は僅か20秒足らずという超高速でMACステーションに取り付き基地を丸呑みにしてしまう。

ダンは隊員たちに脱出を指示。すぐにマッキー(MACの戦闘機)に乗り込み脱出を図るが格納庫に無数の触手が侵入し、マッキーごと隊員たちを飲み込んでしまう。

一方、司令室に残っていたダンとゲンだったが、基地を飲み込まれた以上まともに戦える状況ではなく、ダンはゲンにも脱出を指示しMACの隊長として自分はMACの最後を見届ける決意をする。ゲンは一緒にと脱出を拒否するも

ダン「これはブラックスターの円盤生物の攻撃だ!」

ゲン「円盤生物・・・?」

ダン「ブラックスターの侵略から地球を守るんだゲン!お前はレオだ!不死身の命を持ったウルトラマンレオだ!」

ダン「お前の命はお前1人だけのものではないことを忘れるな!行け!」

ダンの叱咤を受けてゲンはレオに変身。MACステーションを脱出する。

そのまま基地へ取り付いた怪獣へと立ち向かうも高速スピンによって振り払われてしまう。

MACステーションを飲み込んだ怪獣「シルバーブルーメ」はそのままの勢いで地球へ降下し、街のど真ん中で暴れだす。

その様子を見物していたブラック指令は不敵な笑みを浮かべるとシルバーブルーメに撤退を指示した。

地球へ降りたゲンは多くのけが人でパニックに陥る病院で立ち尽くしていた。自分の不甲斐なさをせめるゲンは病院を走り回るトオルを発見する。

トオル「おおとりさん!」

ゲン「トオル!どうしたんだ!」

トオル「カオルと百子姉さんと猛さんが買い物に行ったきり帰ってこないんだ!」

ゲン「なんだって・・・!」

3人を探して病院を走り回るゲンとトオル。しかし、病院のどこにも3人の姿はなかった。

トオル「ここにいないってことは無事だったのかもしれないね。」

ゲン「そうだな。」

微かな希望にすがる2人だったが、時を同じくして死亡者リストが張り出される。

意を決してリストを見に行く2人。そこには・・・

野村タケシ

ヤマグチ百子

そして

シルバーブルーメの襲撃はゲンとトオルの大切な人々を奪っていった。

現実に打ちのめされるトオル。その痛々しい姿にかける言葉の見つからないゲンはダンの最後の言葉を胸に刻み命ある限り新たな脅威と戦い続けることを誓うのだった。

主な登場人物

・おおとり ゲン
MAC隊員にして我らがウルトラマンレオ。
シルバーブルーメのMACステーション襲撃から唯一生還した。が、その結果恋人、師匠、親友、妹分、戦友と多くの仲間を失う哀しみを背負うことになった。
MACが壊滅した為に民間人として円盤生物の侵略に立ち向かうことになる。
ちなみにこの話以降で彼が愛用する乗用車はMACから退職金がわりに受領したという裏設定がある。

・梅田 トオル
ゲンが職員として勤めるスポーツセンターに通う少年。ゲンを兄の様に慕う。
以前の話で父親を失い妹と共に百子に引き取られていた。が、シルバーブルーメの襲撃で最愛の妹も姉と慕っていた百子も失ってしまう。
その後はゲンとともに美山家に居候する。
円盤生物編においてはゲンに次ぐ第二の主人公的な立ち位置で彼もまた生きる厳しさと哀しさに直面することになる。

・モロボシ・ダン
MACの隊長にして我らがウルトラセブン。
髭を生やしてイメチェンし、隊員の誕生パーティを開催するなど珍しく穏やかな姿を見せた。
MACの隊長として職務に殉じる道を選び行方不明となる。
ブラックスターとそこに生息する円盤生物のことも知っており、ゲンに地球防衛を託した。

・MACの隊員たち
ステーションで誕生日パーティを開催していたところをシルバーブルーメに襲撃される。
マッキーにて脱出を図ったが、機体ごと捕食され全員死亡した。

・山口 百子
ゲンの恋人。幼い梅田兄妹を引き取って面倒を見ており兄妹からは姉と慕われていた。
ゲンがウルトラマンレオ=宇宙人であることは知らないが、ゲンが悪い宇宙人でも自分を愛してくれるなら構わないと言い切るほどに深い愛情を持っていた。
カオルと猛と3人で買い物に出かけた所をシルバーブルーメの襲撃で帰らぬ人となった。

・野村 猛
ゲンと同じくスポーツセンターに勤める後輩。
ゲンを兄の様に慕っており、梅田兄妹からももう1人の兄貴分として慕われていた。
百子とカオルと3人で買い物に出かけた所をシルバーブルーメの襲撃で帰らぬ人となった。

・梅田 カオル
トオルの妹で兄と共に百子に引き取られていた。
百子と猛と3人で買い物に出かけた所をシルバーブルーメの襲撃で帰らぬ人となった。
死亡者リストの彼女の名前が映る時はカタカナで書かれた名前が1文字ずつ、名前を見つけてしまったトオルのカットと交互に表示されるという演出になっており、幼い命が容赦無く失われた事を視聴者に痛感させた。

美山家
職場を失ったゲンと家族を失ったカオルの居候先となった。

・美山 咲子
美山家の主で肝っ玉母さん。未亡人。
職業は看護婦でシルバーブルーメによる怪我人の手当てに当っていた際、現実に打ちのめされるゲンとトオルの姿を見て放っておけず自分の家に居候させた。
ゲンとは以前から知り合いだった様子。

・美山 いずみ
長女。

・美山 あゆみ
次女。トオルとはクラスメイトである。

・ブラック指令
悪魔の星ブラックスターより地球侵略とレオの抹殺を目的として地球に現れた。
円盤生物第一号としてシルバーブルーメを呼び寄せる。

事の顛末

姿を消したシルバーブルーメは化石のような物質へと姿を変えトオルのクラスメイトに拾われていた。

その物質を見たトオルはその正体がシルバーブルーメであると確信するがクラスメイトは取り合わない。

見かねた担任の先生は正体を突き止めるとして自分が預かることにした。

担任は理科室で物質に対し様々な実験を実施、その中でバーナーを使い火あぶりにするがその熱によってシルバーブルーメは活動を再開。担任を捕食してしまう。

トオルから化石のような物質のことを聞いたゲンは小学校へ急行するが時にすでに遅く、シルバーブルーメは再び巨大化し暴れまわっていた。

怪獣の出現が突然だったが為に小学校にはトオルを始め多くの子供達が取り残されており、ゲンは子供達の避難の時間を稼ぐ為にレオに変身する。

シルバーブルーメと対峙するレオ。子供達を守るために全力を出すことができないレオに対し、シルバーブルーメは触手と溶解液で容赦のない攻撃を加えていく。

だが、レオに促された街の人々が奮起。逃げ遅れた子供達を無事避難させることに成功する。

子供達の避難が完了し、力を抑える必要がなくなったレオは触手を振りほどくとシルバーブルーメの体内から触手と共にマッキーを引きずり出し、最後はアロー光線でトドメを刺した。

大切な人たちを奪った仇敵を倒したレオ。

しかし、この戦いはこれから始まるブラックスターとの長き戦いの序章に過ぎなかったのである。

ブラック指令「次は負けるものか!ブラックスター2号機!ブラックドーム!」

登場怪獣

・円盤生物シルバーブルーメ

悪魔の惑星ブラックスターに生息する円盤生物の一種で、ブラック指令により地球へと呼び寄せられた。

クラゲの様な透明な胴体に無数の触手を所持しており、宇宙空間を光速で移動できる他、口からは黄色い溶解液を吐き出す。

その能力で電撃作戦的にMACステーションに取り付き、迎撃態勢を整える前にMACステーションを内部にいた隊員達もろとも捕食してMACを壊滅させた後、地上に降りて多くの被害を出した。この時、ゲンとトオルの大切な人達も巻き込まれ死亡している。

その後は不思議な物質へ姿を変え潜伏していたが、それを手に入れた教師を捕食してエネルギーを蓄えたことで再び巨大化。小学校を襲撃した。

ここで現れたレオと交戦となり、子供達の避難が完了していない故に全力を出せないレオを触手と溶解液で苦しめた。

しかし、子供達の避難が完了し全力を発揮したレオの前には無力であり自身の触手と体内にいたマッキーを引きずり出された後、アロー光線で撃破された。

防衛チーム全滅や地上で出した被害もさることながら、作品のレギュラー陣の悉くを葬り去ったことから登場から30年以上経った今でも円谷史上最悪の怪獣との呼び声が高い。

倒される前に体内のマッキーを引きずり出されていたが、レオが取ったこの行動の真意は劇中では明らかにされていないものの「体内のマッキーの中で隊員が生きている可能性に懸けた」というのが通説である。しかし、引きずり出されたマッキーは溶解液によって黄色く変色しドロドロに溶けているという状態でありレオと視聴者の微かな希望も打ち砕く事となった。

概要

ウルトラマンレオ最終クール「恐怖の円盤生物シリーズ」の幕開けとなったエピソード。

作品紹介でも触れましたが、オイルショックの影響による制作費の高騰に対応するためにウルトラマンレオという作品は大きな転換を迫られておりレギュラー陣を一斉に退場させることで制作費削減を行うことになります。

この話は制作費削減を行うために作られたエピソードと言っても過言ではなくMACの全滅とレギュラー陣の退場が一話で描かれるという衝撃の展開となりました。

登場怪獣のシルバーブルーメが結果として円谷史上最悪の怪獣と呼ばれるようになったのも、こういった時代背景によるところが大きいです。レオとMACの最大の敵はシルバーブルーメでもブラック指令でもなく時代だったというわけですね。

こんな展開になったのは予算削減と同時に最終クールへのテコ入れとしてインパクトを求めた所も大きいです。・・・というか、MAC全滅は予算目的としても、百子、猛、カオルの3人を退場させて美山家の3人を追加したらトントンになるわけで・・・この3人は間違いなくインパクトのために殺されたんでしょうなぁ・・・。

その一方で、大切な人たちを奪った仇敵を前にして仇討ちよりも子供たちを守ることを優先するというレオのヒーローとしての成長が垣間見えるエピソードでもあり、この話以降レオの成長物語もクライマックスへ向かっていくことになります。

余談

劇中でシルバーブルーメに捕食された小学校教師を演じたのはマジンガーZの兜甲児などの役で知られる声優の石丸博也氏。

石丸氏は近年のウルトラシリーズにおいてウルトラマンタロウの声を演じておりますので、シルバーブルーメはセブンだけでなくタロウまで捕食していたことになるわけです。

こいつ・・・どんだけやらかすつもりだ・・・。

ウルトラマンレオ最終クールの企画案はこの「恐怖の円盤生物シリーズ」とは別に「ウルトラ兄弟が円盤に乗って戦う」という物もありました。

が、どっちにしても番組存続のためにはMAC全滅による予算削減が前提でありどっちにしろMACは全滅する運命でした。哀れ。









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