ウルトラマンの話

藤堂武史

2021年7月30日

この記事は2021/07/30に書いたものです。

藤堂武史

(C) 1993 円谷プロダクション 「電光超人グリッドマン」より

藤堂武史は電光超人グリッドマンの登場人物。

一言で言うと陰キャな根暗で卑屈な中学生。

それ故に学校では友達もおらず、両親は仕事で家を留守にしているため常に一人。親子仲は冷め切っている様で武史自身も両親にいい思い出がなく、劇中でも「電話は母親からの命令ばかり」、「金さえ振り込んでおけばいいと思っている」と発言するなどよく思っていないことが分かる。幼い頃は純情で優しい少年であったが、親との関係や孤独がいつしか彼を歪んだ人物へ変えていった。

両親の稼ぎによって当時では超高級品であったパソコンを複数台所持しており暮らしは裕福な様である。普段はこのパソコンを使ってハッキングしたり怪獣のCGを描くなどしていたが、その能力を魔王カーンデジファーに見出され彼の協力者となり、一方でグリッドマンの協力者となった同級生の直人、一平、ゆかの3人と(互いにそうとは知らないまま)熾烈な戦いを繰り広げる。

グリッドマンチームと武史を比べると

・常に3人で行動しているグリッドマンチームといつも一人の武史。

・三者三様に家族と良い関係を築き劇中に家族が頻繁に登場するグリッドマンチームと両親との関係が冷え切っていて劇中で両親が全く顔を見せない武史。

・中古の寄せ集めパーツで作ったPCを使うグリッドマンチームと最新式の高級PCを使う武史。

と、いろいろな面で正反対となっている。

以下 電光超人グリッドマンのネタバレを含みます

劇中での活躍

カーンデジファーが目を付けただけのことはあって、ハッキング能力と怪獣を生み出す創造力は非常に高く、様々な怪獣を生み出してはハッキングにて各地のコンピューターへと送り込み街を大混乱に陥れていた。

水道局や物流センターなどの重要拠点から刑務所といった万全なセキュリティが用意されている所へもハッキングできていることからも能力の高さが窺える。同時に自らに繋がるハッキングの痕跡や証拠も丁寧に隠滅しているようでグリッドマンは最後までカーンデジファーのアジトを突き止めることが出来なかった。

また、生み出した怪獣も一筋縄ではいかない強敵ばかりでグリッドマンを苦しめた。

ちなみに、毎回の話の流れが武史が生活の中で鬱憤を溜めてくる→それを晴らす手段(怪獣)をカーンデジファーに提供してもらう→怪獣が大暴れ→グリッドマン登場という流れになることから視聴者からは「悪いのび太」と呼ばれることも(当然カーンデジファーは「悪いドラえもん」である)。

なお、怪獣を生み出し送りこむ理由は毎回違っており「これは相手が悪い」と同情したくなる理由から「そんなことで?」「これだから陰キャは・・・」と言いたくなる様なしょうもない理由まで様々。ちなみにゆかに好意を抱いており、ゆかにラブレターを渡そうとして受け取ってもらえなかったことが第一話の騒動の原因になっている(ゆかが受け取らなかったのではなく、あまりのコミュ障だったため手紙を差し出すことすら出来なかっただけなのだが・・・)。

一応、最低限の倫理観は持っているようで明らかに死傷者が出そうな作戦には躊躇し、反対することもあった(結局カーンデジファーに従って無理矢理やらされるのだが)。

一方で「手術を行っている病院のコンピューターを狂わせる」、「コンピューター制御の車を暴走させる」、「水道局のコンピューターを狂わせて水道の水を塩酸に変える」など普通に死傷者が出てもおかしくない作戦は平然と行っているので「これをやった結果どうなるのか」という想像力は足りてない模様。この「想像力の欠如」は後に彼がカーンデジファーに見捨てられる原因にもなった。

カーンデジファーとの関係

「僕はずっと一人ぼっちだったんだ・・・!」

「カーンデジファー様は友だちになってくれたんだ!!」

前述の通り親との関係も良くなく、学校や周りに友達も親しい人もいない。

ずっと孤独に苛まれていた中で武史の前に現れたのが魔王カーンデジファーであった。

カーンデジファーにとって武史は都合のいい駒でしか無かったが、同時に武史にとっては初めて「自分自身」を見てくれて必要としてくれた存在であった。

故に最初は警戒していた武史も「カーンデジファー様」と呼び慕う、というよりは依存するようになっていった。

しかし、武史の考案した作戦や怪獣はグリッドマンによってことごとく退けられ、最終的に「隠密行動によってグリッドマンに存在を知られないように生み出した怪獣を暗躍させる作戦」を展開していたのに一時の怒りによって「隠密行動用の怪獣を大暴れさせる」という暴挙を独断で敢行。これによりグリッドマンに介入され作戦失敗してしまったことでついにカーンデジファーに愛想を尽かされ見捨てられてしまう。

誰もが皆ヒーローになれる

「カーンデジファーは僕の心の醜さに引き寄せられた怪物なんだ・・・!」

「奴を倒さない限り、僕は立ち直ることが出来ない!」

カーンデジファーに見捨てられた失意の中で街を彷徨っていた武史はグリッドマンチームに発見される。

この時、錯乱状態になりカーンデジファーの名前を呟いたことから武史とグリッドマンチームはお互いに敵同士であったことを認識する。

世界征服を実現するために行動を開始したカーンデジファーに初めは心酔したままだったものの、グリッドマンと一体化し命がけで戦っている直人の存在やゆかの説得、そしてカーンデジファーが行おうとしている事の恐ろしさを認めた彼は覚醒する。

カーンデジファーは武史のパソコンに巣食い拠点としている。ならばパソコンのデータ、プログラムを全て消去すればカーンデジファーも消滅する。全てを終わらせる決意をした武史が生み出した完全消去プログラムは劣勢に陥っていたグリッドマンを救い、カーンデジファーを倒す大きな力となった。

孤独に苛まれ、魔王に心酔していた少年の勇気と決意が最後に世界を救ったのである。その姿は紛れもなく一人のヒーローであった。

とはいえ、長い時間を一緒に過ごしたカーンデジファーとの決別は辛かったようでプログラムを作るときには涙を流していた。

全てが終わった後、武史はずっと持っていたゆかへのラブレターを破り捨てた。

「もういいんだ。君たちが友達になってくれる。」

友達と笑いあう武史の姿と共に電光超人グリッドマンの物語は幕を閉じる。

その後

テレビシリーズ終了後、雑誌にて魔王カーンデジファーの弟「ネオカーンデジファー」が兄の復讐のために現れる続編が展開され、そこではグリッドマンの弟「グリッドマンシグマ」が登場。武史はグリッドマンシグマと一体化し、再びグリッドマンと一体化した直人とネオカーンデジファーに挑む。という展開になっていた。名実ともに武史がヒーローになった瞬間である。

また、2015年には短編アニメ「電光超人グリッドマン boys invent great hero」が制作され、そこでは成長した武史が再び現れた脅威を前にグリッドマンシグマに変身する姿が描かれた。

アニメ「SSSS.GRIDMAN」に登場した新条アカネの元ネタになったキャラクターであるが

・CGというデジタルな手法で怪獣を生み出す武史と模型を作るというアナログな手法で怪獣を生み出すアカネ。

・常に一人の武史と人気者で多くの人に囲まれるアカネ。

・人の命を奪うことを躊躇する武史とためらいなく人の命を奪うアカネ。

・最後に黒幕に反旗を翻した武史と最後まで黒幕に利用され続けたアカネ。

色々正反対のキャラ付けをされている。

余談

当初の案では武史がグリッドマンのデータを元に「カーンナイト」という悪のヒーローに変身。グリッドマンと戦うも改心して正義のヒーロー「グリッドナイト」として共闘するという展開が考えられていた。この初期案は少し形を変えてグリッドナイトの名前と共にSSSS.GRIDMANのアンチへと受け継がれた。

演じた菅原剛氏は元々主人公の直人役のオーディションを受けていたが、その演技力の高さを認められ「悪役をやらせたい」というスタッフの意向で武史役に抜擢された。実際、上述のような根暗で陰キャな雰囲気を見事に演じており、とある話では「タケオ」という武史の光の部分が具現化したような存在を一人二役で演じ分けるなど演技力は非常に高い(例えるならのび太と出木杉を同時に演じているようなものである)。

なお、「ヒーローのオーディションを受けた人物が悪役に抜擢される」というのは後の円谷作品でもちょくちょく見られるものである。









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